「三題噺」部屋

ゲーム、寿司、フライパン - 加貝

2010/06/22 (Tue) 21:39:30

第二十一回目のお題です。

フライパン片手にお玉を持ちましょう - Michiya

2010/06/25 (Fri) 22:06:08

「あのね、雅臣くん。」
「はい、何でしょう、お姉様。」
「ちったぁはたらぇやぁああっ!」
「ぎゃああぁああ!」

フライパン片手にお玉を持ちましょう

「ね、姉さん、す、すみませぇえええん!」
俺の名前は雅臣。そして、フライパン片手にお玉を持って俺を追ってきているのは俺の姉。
…正直、鬼のようである。

―時は遡って十分前。
 俺は姉さんに頼まれた夕飯作りを放って、ゲームに徹していた。
「ちくしょ、ちっ、これ、上手くいかねぇ…。」
 俺と姉さんは二人暮らしだ。両親が一年前に海外へ行ってしまい、俺と社会人の姉さんが残された。
 家事は当番制。
 で、今日の食事係は俺。
「ただいまー。」
「げっ、」
 思ったより姉さんが早く帰ってきて、俺は急いでテレビの画面を消す。
「雅臣ー?」
「い、今から作るよ!」
「…アンタ、まさか。」
「え、えへへ?」
 ちらりとテレビに目線を向ける姉さん、25歳。
「…ねぇ、これ、ゲーム機の電源…ついてない?」
「…(汗だらだら)」
「…まーさーおーみー!!」
「ごごご、ごめんなさぁああい!」

 と、家の中で追いかけっこ(っていうか、めっちゃ追われてるけど。)をしているのである。
 姉さんはそこに置いてあった(キッチンが近かったのだ)フライパンと片手にお玉を持ち、こうして追ってきている。
 正直、ホラーだ、ホラー。
「…追い詰めたわよ…。」
「ひ、ひぇええぇ!」
「…はぁ…。」
 姉さんは溜息を吐く。
「全くアンタはいつもいつも懲りないわね…。」
「だって、俺だもん。」
「そこで威張るな。」
ゴンッ
「い、いってぇええ!」
「まぁそうかと思って、ちゃんと夕飯買ってきたの。」
「さっすが姉さん!」
「そう思うんだったら、今すぐ洗濯物を入れてきなさい。」
「はーい。で、何を買ってきたの?」
「寿司。」
「わぁい!」
「準備しとくから。」
「了解。」
 俺は嬉しさを隠せないまま、洗濯物を取りに向かったのだったが。
 あれ?洗濯物って、今日、姉さんの係じゃなかったっけ…?

本日は晴れのち青春 - 科挙

2010/07/08 (Thu) 21:36:12

「なあ、回転寿司行こうぜ」
「は?」

別に何か不吉な事とか変な事を感じたりはしなかった。
ただ、起きて学校行って帰って寝る。そんな日だと思っていた。
しかし、蓋を開けてみればこの通りである。

隣で僕の返事を待っているであろう男は別のクラスの人気者だ。
同じクラスになったこともないし、委員会とかで活動したこともない。
そもそも友人が皆無に等しい自分はその辺の連中と全く接点がない。青春って何ですか?
まあとりあえず正真正銘、完全と言ってもいい位の他人だ。
…状況が把握しきれない。
「…何で僕がお前と一緒に回転寿司へ?」
「いや、今日親がいないから勝手に飯食えって言われたんだけど、1人じゃ寂しいだろ?」
「僕を選んだ理由になってない」
「ああ、1人暮らしって聞いたから都合いいな、と思って」
「それだけで?」
「あと、見たらなんか面白そうな奴だから?」
いや、「?」とか言われても。
「で、都合いい?」
「時間は問題ないが、金と他人であるお前に対する距離感に問題ありまくりだ」
「金ならこっちが出すし、距離感は…何とかなるでしょ、多分。てか本人の前で言うことじゃねえ」
「まあいいけど」

着いてしばらくしてゲームの話になった。
するとそいつは突然口角泡を飛び散らせて力説する。汚いことこの上ない。
「それでさあ!そのゲームのラスボスが強すぎるんだって!」
「そのゲームなら一応やったが、特に問題ないはずだろ。装備は?」
「ん?初期設定」
「…勝てるわけねーだろ」
「最初の武器が『フライパン』だったのがツボでな」
「あれ他のゲームより初期装備が物珍しいだけで攻撃力本当にクズ級の装備だろ」
「それで勝つ!それが醍醐味だろ!俺はFFでタイタン無しでギルガメに勝ったぜ?」
「嘘つけ」

気づいたらなんか盛り上がってる自分に驚いた。
本当に距離感を何とかした辺り、さすが人気者。
「じゃーな!また明日!」
「ああ、おやすみ」

…そうか、これが青春か。悪くない。

一日の始まり(にしちゃうるさい) - 加貝

2010/07/09 (Fri) 22:59:42

カンカンカンカン!
「ほら真!起きなさいっての!」
「う…あぁ、うるせぇ…二日酔いなんだ。朱里、手加減して…グゥ」
「あんた未成年だろうがーーーーーーーー!」
ガンガンガンガンガンガンガンガン!!!
「分かった…嘘ついて悪かった…だからフライパンとお玉のコラボは止めてくれ。そのお玉何本目だと…」
ボキィ!
「あ…。」
「………」
「ごめん♪やっちゃった♪」
「いい加減にしろぉぉぉぉぉぉっぉぉぉぉ!!!」

「お前はいい加減学習しろよ…。」
「うるさいわね。あんたが起きればこんなことにはならないわよ。」
「何で俺のせいになるんだ…。」
昨日の残り物の寿司飯と味噌汁を適当に料理する。
「ほらよ。」
「ん、じゃいただきまーす。」
モグモグと食べ始める。
「いつも言ってるだろが。フライパンとお玉で起こすくらいなら料理しろよ。」
「面倒くさい。」
「お前はほんとに女なのか?」
「うるさいわね。つか、あんたが料理できるんだからいいでしょ。」
「俺はお前の主夫か…。」
「え!?いや、あんたがそこまで言うならしてあげても、いやでもでも…」
「何ぶつぶつ言ってんだよ?」
「煩いわね。いま少し私の乙女心が…」
「…何処に乙女がいるんだ??」
マジである。本気と書いてマジである。
「っっっっっっっ、逝ってこいやーーー!!!!」
「ごげふぶぅ!」
ゲームのごとく吹っ飛ばされる俺。いつもの光景。
そして何故吹っ飛ばされているのか分からない俺。
こんな感じで一日が始まる。

これが蓑坂クオリティ - 蓑坂 格差

2010/07/31 (Sat) 22:35:54

「何だこのゲームは」
ここは、あるゲーセンだ。
県内では一番の広さを誇る。
フライパンで人を殴るゲームらしい。
よくあることだ。
昨日も殺されかけた。
しかし、これをゲームにしてしまうとは……。
さすがは大手ゲーム会社。

ここは、かつて青い星と呼ばれ、人類が存在していたと伝えられる2万年前の地球だ。
今、若者……だけでなく全ての人類がはまっているもの。
それが、フライパンで人を叩きまくるというゲームだ。
いや、ここでいうゲームというのは、テレビや画面に向かってやるそれではなく、実際にゲーム感覚でやっている遊びなのだ。
日本語って難しい。

さて、話を戻そう。
今、僕が危機的状況に瀕しているというのは先ほども言ったが、具体的にはフライパンに囲まれているのだ。
実際にはフライパンを持った、明らかに狂人じみた人間たちだ。
僕が持っているフライパンは2種類。
一つは、投げても返ってくるようにしたブーメランみたいなやつ。
もう一つは、どの家庭にもあるような普通のフライパンだ。
相手は、3人。
皆、攻撃力ではトップクラスの中華鍋を持っている。
僕個人の意見としては、かなりの重さで動きが鈍くなるので嫌いだ。
この状況を脱するために、必死で考える。
何かしら解決策はないかと、ポケットに手を突っ込んだ。
なぜか、握り寿司があった。
迷わずそれを相手に投げつける。
そうして、相手がひるんだすきに逃げ出した。
慌てて追ってくる3人に向かって、少々加工されたフライパンを投げた。
フライパンは完璧としか言いようがない軌道を描いて、3人に命中した。


と、そこで目が覚めた。
何だ夢か。
窓を開ける。
重い金属の塊が後頭部に当たる。
GAME OVER


「これ、絶対売れるよね」
隣で友人がフライパンを持って聞いてくる。
「ああ、売れるな」

そうしてこのゲームは、世界一の駄作と呼ばれ、クソゲーオブザイヤー5連覇という、大記録を打ち立てたのであった。

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